アッヴィ合同会社
AbbVie GK
もっと広く、もっと深く。アッヴィが製薬業界で示す確かな歩み
本社を米国に持ち、世界175カ国以上に展開する研究開発型のバイオ医薬品企業・アッヴィ。その日本法人であるアッヴィ合同会社は、グローバルでEEDI (Equity:公平性、Equality:平等性、Diversity:多様性、Inclusion:包摂性)、つまり多様な背景や視点を受け入れ、全ての人を平等に、尊厳と敬意を持って接することにコミットしている。EEDIはアッヴィの文化の根底を成し、基本理念である「私たちの約束」にも表れている。ERG(従業員リソースグループ)は、個々の声を尊重し合う多様でインクルーシブな文化の醸成のけん引役を担い、社内外への取り組みを継続している「PRIDE」もその一つである。
2024年の『work with Pride』では最高位のゴールドを4年連続、またコレクティブインパクトを評価するレインボーを2年連続で取得。製薬業界におけるダイバーシティ推進をリードするアッヴィの、「より広く・深く」多様性を浸透させるための取り組みとその原動力について、ERG PRIDEの共同リーダーを務める田島正浩さんと松永剛祐さんにお話を聞いた。
聞き手/髙松孟晋 撮影/清原明音
カスタマーエクセレンス本部 ブランドチームパートナー 統轄部長 田島正浩さん(左)
イミュノロジー事業本部 消化器領域事業部 営業統轄部長 松永剛祐さん(右)
トップからの明確なメッセージが力に。アッヴィが貫く、EEDIへの確固たる姿勢
ー米国に本社を持つ会社を中心に、昨今の情勢の変更で、多様性に対する取り組みを見直すケースも出ています。
田島 そうですね、今年のはじめは他の米国系グローバル企業の方針変更の報道も出ていて、先が見通せない不安を感じた時期もありました。しかし、3月にシカゴの本社オフィスからの従業員向けメールでアッヴィの基本理念に基づくメッセージが発信され、私たちはこれからもその理念を体現し患者さんにベストを尽くしていこうと、ERG PRIDEメンバーとして安堵するとともに、よりモチベーションが上がったように思います。
ーでは、昨年と比較し現在のERG PRIDEの取り組みに関する状況はいかがでしょうか。
田島 昨年から「もっと広げる、もっと深く」というテーマで取り組みを続けています。アライの輪は広がっていますが、人数が増えてくるとアライ宣言をしてくれた人の中でも知識に差が出てくるので、それぞれに応じた知識を深めるプロセスがあってもいいよね、と昨年の振り返りの時にメンバーで話し、取り組みを継続してきました。
昨年からの変化で言えば、ERG PRIDEメンバーが18名から34名と2倍近くに増えました。また、弊社ではアライ表明をしてくれた人に名前とメールアドレスを登録してもらっていますが、社内のアライメンバーは、昨年時点で全社員の約30%にあたる600人を超え、現在*は約640人とさらに増えています。
*取材時点
松永 今年増えた要因としては、社内イベントとして映画の上映会を実施したことが大きかったですね。上映会後、参加した営業メンバーを中心にアライが増え、彼らが所属する各オフィスでもアライの輪が広がっています。これにより、テーマとして掲げた「広がり」の兆しが見えてきたと考えています。
ー上映会開催の経緯や詳細をお聞かせください。
田島 昨年のブース出展をきっかけに、映画監督の黒川鮎美さんに、トランスジェンダー当事者の日常を描いた「息子と呼ぶ日まで」という新作映画の試写会に招待していただきまして、鑑賞したERGのメンバーが全員号泣して帰ってきたんですね。一番号泣していたのは僕なんですが(笑)。この映画は病院が舞台で、我々製薬会社や医療従事者にも親和性のある内容だったこともあり、ぜひ上映したいと監督にお願いしました。
松永 上映会は今年の3月に東京(2拠点)・神奈川・大阪・静岡・埼玉・千葉の合計7拠点で開催し、事前登録だけでも200名以上の参加があり、イベント後にそのままアライ表明をする人も多くいました。知識としては知っていても「自分ごと」として捉えにくいというハードルを、映画によって越えられたのではないかと思います。
拠点間の垣根を越えて「自分ごと」に。メンバーの間で自発的に生まれ、広がっていく取り組み
ーなぜ営業の方はこれまでアライを表明する方が少なかったのでしょうか。
松永 営業はそれぞれの拠点にオフィスがあるので、本社が実施している取り組みから距離があるというのは、すべてのERGで同じ状況でした。ですが、昨年の東京レインボープライドへの参画を分岐点として、PRIDEの取り組みに関しては本社と各拠点の距離が近くなったように思います。
田島 それに加えて、社内の各部門のメンバーの自発的な活動が原動力になっています。あるチームは、全国の社員によびかけレインボーフラッグを持って写真を撮影し、その写真を本社で展示する「フラッグキャンペーン」を実施しました。
松永 これは東京になかなか来られない社員も遠隔で参加できるもので、「自分ごと」にすることができるきっかけの一つになったと思います。
田島 また、他のチームはグローバルのイベントなどで、この活動をどんどん発信してくれています。ERG PRIDEやアライメンバーが増えたという「人の広がり」と、そのメンバーが所属する各部署で、それぞれのタッチポイントにおいて新しい活動がどんどん生まれています。そこが本当にありがたいし、それこそがアッヴィの「PRIDE」の原動力になっているのだと思います。
「メンバーの力」で掴んだ4年連続の「work with Pride」ゴールド、2年連続のレインボー認定
ー『work with Pride』で、4年連続のゴールド、2年連続となるレインボー認定を獲得できたのも、そうしたメンバーの自発的な動きによるところが大きいのでしょうか。
松永 本当に「メンバーの力」、この一言に尽きます。『work with Pride』指標は毎年要項が少しずつ変わるので、それを見れば、現在の弊社に何が足りていないのかというセルフチェックにもなりますし、そのために我々に今何ができるのか、何がやりたいのかということも見えてきます。
それを基に毎年新しいスタートラインに立てる。4年連続ゴールド、さらに2年連続でレインボーを取れたということはすごく励みになりますよね。次も取りたいですね。
嬉しいのは、同業他社の方ともコミュニケーションが広がっていて、弊社以外にもレインボー認定を受けた製薬メーカーさんが出てきたことです。これは業界的にはもちろん、社会的にも流れが変わってきたと感じています。
ー業界的には、そういった取り組みに関してまだ途上なのでしょうか。
松永 私たち製薬会社以上に、その先の医療機関では(ダイバーシティ&インクルージョンへの)取り組みがまだ進んでいない現状があると感じています。しかし、昨年の東京レインボープライドへの協賛をきっかけに、医療機関の方々から取り組みについて質問を受ける機会も増え、製薬会社として貢献できることがあるのではないかと考えています。
ーERGのリーダーは基本的に2年で交代するものだと昨年おっしゃっていましたが、今年もお二人は継続されていますね。
田島 そうですね。もはや私にとってこの活動は業務の領域を超えて、「ライフワーク」と言っても過言ではありません。今年もできるのであればぜひ、とお願いして継続させていただいています。ERG PRIDE設立当初から松永さんはずっと一緒にやってくれていますね。
松永 この二人でやるのも、今年でもう4年になりますか。田島さんはもはやレジェンドですが(笑)、私自身もこの活動を通じて、会社全体に広がってきている手応えを感じておりまして、リーダーというポジションにこだわらず、今後もこの活動を続けていこうと思っています。
田島 昨年実施した全社を対象にしたアンケートでは、80%以上がアライであると回答しているんですよね。しかし実際にアライ宣言に至っている人はまだ全体の30%程度で、そこにはまだまだポテンシャルがあります。
松永 アライ宣言をした人の割合は、会社内の浸透度というだけではなく、メンバーの皆さんの努力がどれだけ広がっているかという見方もしております。
その届かない場所、広がらない場所が見えてくることで、次にどのような取り組みをすればいいかが自ずとわかります。私としては、引き続きメンバーの皆さんが少しでも楽しく活動を継続できる環境を作っていければと考えています。
*
アッヴィの基本理念のEEDIはそれを体現する PRIDE を含むERGのメンバー一人ひとりの情熱によって、着実に社内外へと広がりと深まりを見せている。関わる人々が楽しみながら自発的に目標に向かって活動できる環境こそが、同社の何よりの宝である。





