チェリオグループ
CHEERIO GROUP
のんで、置いて、歩いてCHANGE! チェリオが掲げる3つの多様性推進と、社員の意識改革
Tokyo Pride(*2024年までは、東京レインボープライド(Tokyo Rainbow Pride)の名称にて開催。)への協賛は今年で12年目となる株式会社チェリオグループ(以下、チェリオ)。関西・中部・沖縄に拠点を持つ同社は、東京のみならず各地のプライドへ積極的に協賛を続けている。飲み物を通じてアライの輪を広げる同社の現在の取り組みと、その風土を作る社内の文化について、マーケティング部の岡部恭祐さんに話を聞いた。

チェリオコーポレーション マーケティング部 岡部恭祐さん
飲料を通じて取り組み続ける ”3つのCHANGE!”
ーチェリオが続けている多様性推進の取り組みについて教えてください。
チェリオはTokyo Prideへ参加して今年で12年目となります。今後も多様性推進に向けて1人ひとりが個性を最大限に発揮し、輝き続けられる社会の実現を目指し「3つのCHANGE」を掲げています。1つ目は「のんでCHANGE」で、全国各地のチェリオ自販機を中心に、2018年よりレインボーパッケージの商品を展開しています。

これまで販売されてきた、レインボーデザインを取り入れた商品や配布グッズ。レインボーパッケージのライフガード缶はプライドイベント会場限定で配布をしている。
飲料を通じて多様性の価値観を人々の生活の中に浸透させる取り組みの一環としてはじまり、2023年は天然水をレインボーパッケージに変更しました。「Diverse by nature~全ての虹は水から生まれる~」をコンセプトに、多様性がいつか水のように普遍的なものになってほしいと思いを込めて企画しています。
2つ目は、「置いてCHANGE」です。レインボーカラーに装飾された自動販売機を置くことで、支援活動に間接的に参加でき、売上の一部を各地のレインボープライドへの応援に充てることができるもので、これまでに複数の企業や学校などに設置いただいています。

レインボーカラーが印象的な「のんでCHANGE!」自動販売機
24時間利用でき、身近にある自動販売機から、「いつでも応援しているよ」というメッセージを当事者の皆様にお届けしたいという想いから誕生したプロジェクトです。お客様に多様性について知るきっかけを提供し、また、購入を通じて誰もが気軽にレインボーイベントを間接的に支援することができます。
そして3つ目は「歩いてCHANGE」です。チェリオは東京だけではなく、全国各地のプライドに社員とともに参加を続けています。2024年度は14団体のプライドに協賛し、11団体のパレードに参加させていただきました。全国各地でチェリオの社員がイベント参加者の皆様とコミュニケーションを取ることで多様性の価値観の拡大に努めてきました。社員とその家族も参加する交流の場にもなっています。

2024年のプライドにて展示したメッセージボード
採用面接から、”流れで”参加したプライドイベント
ー岡部さんが最初にプライドに参加したのはいつでしたか?
2018年で、チェリオの採用面接からの”流れ”での参加でした。それまでは「レズビアン」や「ゲイ」という単語をかろうじて知っている程度の認識で、周囲にカミングアウトをしている方がいるかどうかも知らない状態だったのですが、「今日、プライドイベントが開催されているけど行ってみる?」と面接官の方にお誘いいただきました。
面接を受けた赤坂営業所から歩いて会場に向かい、初めてのプライドを楽しみました。
ーその翌年にはチェリオの社員としてパレードを歩くことになるのですね。
はい。私自身、セクシュアルマイノリティに関する研修を受けて、イベントに参加していても、自分自身のLGBTQ+やDE&Iに関する知識は、恥ずかしながらまだまだ足りない状態でした。それが次第に自分ごとになっていったのは、マーケティング部への異動がきっかけだったと思います。

2025年4月に開催された京都レインボープライドの模様
社内報を通じて、より深堀りした知識を
ーDE&Iの推進を担当するマーケティング部で、岡部さんが最初に取り組んだ業務は何でしたか?
2017年より社内向けに発信している「LGBTQ+を知ってみよう」というLGBTQ+に関する知識やトリビアなどを紹介する社内報のコラムを引継ぎました。

社内報のコラム「LGBTQを知ってみよう」
ーどのような内容のコラムだったのでしょうか?
私自身も知識のなかったところから学ぶことから始めたので、社員の皆さんと一緒に興味を持てるような情報を提供することを常に考えてきました。
例えば、歴史上の有名人やアーティストで当事者やアライであることを表明している人の紹介や、LGBTQ+をテーマにしたエンターテインメント作品の解説などを取り上げてきました。入口として入りやすい情報だけではなく、6月のプライド月間にはゲイ・リベレーションのきっかけとなった「ストーンウォール事件」についてや、自分自身も気づいていなかった「アンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み・偏見)」についての気づきなどをこれまでに40本ほど発信してきました。
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現在は担当を外れ、他のメンバーに引き継いだというが、コラムは今も続いており、社内外の取り組みやカルチャーを伝える場となっている。
入社から5年、人への向き合い方に変化が
ーチェリオに入社してからの5年間、LGBTQ+に関する知識を少しずつ身に着けてきた岡部さんですが、入社前の自分とどのような変化を感じていますか。
一番は「人への向き合い方」が変わったと思います。知識を身につけるうちに、これまでの自分の周囲にはも多くのセクシュアルマイノリティの方がいた可能性や、これまで何気ない言動で誰かを傷つけてきたかもしれないということに気づき、とても後悔をしました。
相手がどのような個性を持っていたとしても一人の人間としてリスペクトできるように、そしてどのような言葉を使えば想いを伝えることができるかを考えるようになったと感じています。
ーその5年間で社内の変化はどのようなものがありましたか。
これまで全国の社員の約4割がプライドに参加し、社内のLGBTQ+への認知度も9割を超えています。チェリオが参加した当初はイベントやパレードへの参加は社長が率先して声をかけてくださっていたと聞きますが、今はそれぞれが自分事として積極的に参加しています。この5年でいえば、コロナを経てご家族の参加が増えています。社員を通じて、ご家族や友人へ、そしてご家族の友人へとコミュニケーションの輪が広がっていくのがとても嬉しいですね。
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岡部さんを含め、チェリオの全社員が、多様性に関して学ぶための研修を毎年受けている。加えて各地の営業所を巻き込みながら、日本全国のプライドイベントに協賛・参加をしており、「当たり前のこと」として多様性を受け入れる風土が醸成されていると言えるだろう。
こうした社内外の取り組みが評価され、「PRIDE指標2024」では、最高評価である「ゴールド」に加え、その中でもさらに他企業や業界へ影響を与えた企業に送られる「レインボー」認定を受けている。
「誰もが自分らしくいられる場所」を目指して
ー各地のプライドに参加する中で思うことはありますか。
やはり地方では、イベントへの関心も、パレード沿道での関心もまだまだ薄いように感じます。Tokyo Prideにご一緒してきた12年間のように、一緒に頑張って盛り上げて行きたい!と感じます。 また、チェリオは子ども達の「笑顔」が見たくてジュースを作り、笑顔に励まされて来た会社ですので、当事者のお子様達が明るく笑顔で過ごせる環境作りについても取り組んで行きたいと考えています。
小さい頃から生きづらさを抱えてきた方に対する周囲の理解促進には、まだまだ課題があると感じています。そんな中で、チェリオとしても個人としても、「誰もが自分らしくいられる場所」の実現を目指して、今後も活動していきたいと考えています。
ーありがとうございました。
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チェリオがプライドへの協賛を開始して12年目。飲料という身近な存在を通して、多様性の種をまき続けるチェリオ。その種があちこちで花開くのも、そう遠くない未来のように感じる。





