freee meets Waffle
freee meets Waffle
テックの力で、ジェンダーにとらわれない未来を。freee × Waffleが次世代に示す未来の選択肢
テクノロジー分野のジェンダーギャップの解消に取り組むNPO法人Waffleと、誰もが自由に経営できる社会を目指すフリー株式会社(以下、freee)。両者がTokyo Pride 2025 Parade & Festivalで、手を取り合った。
本記事では、今回のプロジェクトを率いたDEI担当者、企画を支えたエンジニア、それぞれの視点から、企業とNPOの新たな協働の形について話を聞いた。
【登壇者】
NPO法人Waffle 広報 辻田健作さん
フリー株式会社 DEI Lead 吉村美音さん
フリー株式会社 エンジニア 鈴木智之さん
フリー株式会社 エンジニア muroさん
フリー株式会社 エンジニア 米田愛恵さん
フリー株式会社 エンジニア 立花美幸さん
フリー株式会社 新卒エンジニア採用 山本莉菜さん
聞き手/髙松孟晋 撮影/清原明音
同じ未来を見つめる「両想い」のコラボレーション
―今回のコラボレーションが実現した経緯について教えてください。
辻田健作さん(以下、辻田) Waffleは、誰もがテクノロジーの世界で活躍できる社会の実現を目指しているNPO法人です。女子とノンバイナリーの中高生向けに無料のプログラミング・IT体験講座や、大学生・大学院生向けに文系・未経験でもテクノロジー系のキャリアを目指せるコミュニティの運営などしています。
「Technovation Girls」という国際的なアプリ開発コンテストの日本展開などを通じて、次世代の女性やノンバイナリーのテックリーダー育成をミッションとしています。freeeさんは学生の間でも認知度が高く、先進的な取り組みをされている企業という印象で、いつか連携したいと考えていました。
吉村美音さん(以下、吉村) freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」というミッションを掲げており、freee自身がこのミッションを実現し、さらに加速させる上でもDEI(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)はなくてはならない考え方であり、経営の根幹にも据えています。その中で、Waffleさんが掲げる「テクノロジー分野の教育とエンパワーメントを通じて、ジェンダーギャップを解消する」というビジョンが、私たちが目指す「誰もが自由に経営できる社会」と強く共鳴すると感じていました。同じ方向を向いていると感じ、ぜひご一緒したいとお声がけしました。
辻田 1月にNPO法人東京レインボープライドが企業とNPO向けに開催した「セクター間コラボ交流会」で意気投合し、まさに「両想い」でプロジェクトがスタートしましたね(笑)。
吉村 コラボ先を決める時期に、Waffleさんでは「Technovation Girls」の社会人メンターを募集されている絶妙なタイミングでした。ブース出展とは直接関係はありませんが、同じパートナーと、ほぼ同時期に、それぞれの場所でジェンダーギャップ解消という同じ目標に向かって走れることに大きな意義を感じました。
―freeeとして、ジェンダーギャップの課題にここまで深くコミットするのはなぜでしょうか。
吉村 社会に根強く残る様々な不平等、特にLGBTQ+の方々が直面する困難の多くは、日本の場合、根底にある深刻なジェンダーギャップに起因すると考えています。
この構造的な課題を解消することが、誰もが属性にとらわれず挑戦できる社会、という私たちのミッション実現に繋がると信じています。
「自分ごと」として動くエンジニアたち。ブース企画の舞台裏
―今回のTokyo Prideでは「freee meets Waffle」と題したブースを出展されました。どのような企画だったのでしょうか。
muroさん(以下、muro) 企画を考える上で、そもそも「なぜ女性エンジニアが少ないのか」という問いから始めました。その一因として、「女の子は理数系が苦手」といった社会からの無意識の刷り込みによる「心理的なハードル」があるのではないかと考えました。
そのハードルを楽しく乗り越えられる体験を提供したいと思い、教育現場でも広く使われているノーコードツール「Scratch」を使って、プログラミングの面白さに気軽に触れられるゲーム体験を企画しました。
―ただ遊ぶだけでなく「最初はクリアできない状態をクリアできるようにする」という仕掛けがあったそうですね。
鈴木さん(以下、鈴木) はい。あえて最初はクリアできない状態のゲームを提供し、「どうすればクリアできるようになるだろう?」と、参加者自身に考えてもらう仕掛けにしました。エンジニアリングの面白さって、問題を発見して、試行錯誤しながら解決していくプロセスそのものにあると思うんです。自分の力でコードを少し工夫したら、動かなかったものが動くようになる。その瞬間の「やった!」という達成感や喜びを体験してほしかったんです。
―企画の準備段階は、どのような雰囲気でしたか?
鈴木 普段のBtoBアプリ開発とはまた違った楽しさがありましたね。弊社のマスコットキャラクター「Sweee(スイー)」を使ったゲームなど、4種類のゲームを用意しました。週に一度、皆で完成したゲームをレビューしあうのですが、「これ、絶対クリアできないよ!」なんて言い合ったりして(笑)。本当に文化祭の準備みたいで、皆が主体的に楽しみながら参加していました。
米田さん(以下、米田) 私は今年の2月に入社したばかりだったのですが、この企画のおかげで、普段の業務では関われない部署のエンジニアの方々と一緒にものづくりができました。もともとfreeeのDEIの取り組みに強く惹かれて入社したので、こんなに早く自分自身がその活動にコミットできたことが、本当に嬉しかったです。
ブースで生まれた「未来への選択肢」
―当日のブースは、大変な盛況だったと伺いました。
鈴木 子どもたちの発想力には、本当に驚かされました。こちらが想定していなかったような方法で課題を解決したり、「もっとこうしたら面白くなるかも」と、元々なかったような新しいゲームのルールをその場で追加してくれたり。サポートしているつもりの私たちが、逆に教えられることがたくさんありました。エンジニアリングは経験の有無ではなく、純粋な好奇心や「こうしたい」という直感が大切なんだと、改めて気づかされましたね。
米田 特に印象的だったのは、女の子のお子さんを連れた親御さんの姿です。文理選択を控える娘を持つお母さんが「この子に何を教えてあげたら…」と話される場面もあり、親世代が持つITへの心理的なハードルが下がる、貴重な瞬間だったと言います。未来の選択肢を、少しでも広げることに繋がればと心から願っています。
辻田 「体験」を通じて社会課題と向き合い、自社のミッションを伝えるfreeeさんらしいブースだと感じました。決して派手なブースではありませんでしたが、来場者と社員の方々の間で、深く、温かいコミュニケーションが生まれる空間でした。
未来のテックリーダーとの伴走で生まれたもうひとつの絆
―Tokyo Prideでの協働と同時期に、Waffleさんが日本展開を担う「Technovation Girls」にも、freeeの社員有志がメンターとして参加されていたと伺いました。
吉村 はい。ブース出展とは別の流れではありましたが、これも今回のパートナーシップを語る上で欠かせない、もう一つの大切な協働でした。より深く長い時間をかけて参加者たちに伴走する中で、未来のテックリーダーたちとの間に、感動的なドラマが生まれていました。
立花美幸さん 私は地方出身で、学生時代にこうしたテクノロジーに触れる機会がほとんどありませんでした。当時の自分に、こんな風に気軽にプログラミングに触れられる場があったら、きっと未来が変わっていたかもしれない。そんな想いがあったので、今回、次の世代にきっかけを渡す側として参加できたことが、とても感慨深かったです。半年間の伴走を経て迎えた最終発表会では、担当チームの成長ぶりに感動して泣いてしまいました。
山本莉菜さん(以下、山本) 私も、担当した学生たちの成長を見て、まるで親のような気持ちで、一緒に青春をさせてもらった気分です。
協働の先に見える未来。性別・地域、すべての格差を越えて
―今回のコラボレーションを、今後どのように広げていきたいですか。
山本 採用担当として、特定の属性によってキャリアを考える機会が限定されることがないよう、Waffleさんと協力しながら、多様なバックグラウンドを持つ学生たちに、freeeで働く面白さやIT業界の可能性を知ってもらう機会を、これからも継続的に作っていきたいです。
辻田 「Technovation Girls」は来年も開催しますので、ぜひまたfreeeさんから社会人メンターとしてご参加いただきたいです。また、私たちの活動は都市部だけでなく、ITに触れる機会の少ない地方にも届ける必要があります。地方の大学でのプログラミング・テクノロジー教育など、地域格差を解消する取り組みでも、ぜひご一緒できたら嬉しいです。
吉村 今回のコラボレーションを通じて、多くの社員がジェンダーギャップという社会課題を「自分ごと」として捉え、楽しみながら主体的に関わってくれました。これこそが、私たちが目指すDEI推進の姿です。この熱量を一過性のものにせず、社内外にさらに大きなムーブメントとして広げていきたいですね。
辻田 freeeさんのように、多様な視点を大切にする企業が社会に増えていくことが、私たちの願いです。そしていつか、今日ここでプログラミングやテクノロジーの楽しさに触れた子どもたちが、未来のfreeeのような、社会をより良くするプロダクトを自分たちの手で生み出してくれる。そんな未来を、私たちは一緒に創っていきたいと思っています。
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企業とNPOが、それぞれの強みを活かして「未来の選択肢」を提示した今回のコラボレーション。ブースで生まれた小さな「きっかけ」は、やがて輝かしい未来へ続いていくのだろう。





