株式会社セールスフォース・ジャパン
Salesforce Japan
AIで「平等」を加速させる。誰も置き去りにしないテクノロジー組織の未来

AIエージェントと人が協働する「エージェンティック・エンタープライズ」への変革を支援する、セールスフォース・ジャパン。世界的なCRM(顧客関係管理)プラットフォーム企業の日本法人として歴史を重ねてきた同社は、「Equality(平等)」を企業のコアバリューの一つに掲げ、カルチャーとして根付かせながら先進的な取り組みを続けている企業です。
同社では以前より、社内のLGBTQ+当事者とアライの社員が参加するERG(=従業員リソースグループ)である「Outforce」に経営陣がコミットメントするなど、ビジネスの成長につながる平等を推進してきました。さらに近年は、AIテクノロジー開発にも平等の思想が組み込まれています。
今回は、同社でLGBTQ+の取り組みをけん引する、同社常務執行役員 マーケティング本部 デマンドジェネレーショングループ キャンペーン部長のカルデラ 久美子さん、Office of Equality & Engagement Directorの蓮見 勇太さん、Outforce代表の河津 玲奈さんにTokyo Pride 2026の振り返りつつ、AI時代におけるEquality(平等)のあり方、そしてさまざまなコミュニティの力を強みに成果を出す組織のつくり方について話を伺いました。
取材・文/御代 貴子 撮影/清原 明音
街との一体感を感じたTokyo Pride 2026
――まずは、Tokyo Pride 2026を終えてのご感想をお聞かせください。
河津 玲奈さん(以下河津) セールスフォース・ジャパンがTokyo Prideに参加し続けて9年目になり、毎年の恒例行事として社内に深く定着していることを実感しました。Pride Parade & Festivalの時期が近づくと、社内のあちこちから「毎年ありがとう」「今年もPride Parade & Festivalに出ますよね?」という話題が自然と増えていきます。
「社員にTokyo Prideを知ってもらう」「来場者に当社の存在を知ってもらう」というフェーズを超え、Equality(平等)を体現する大切な場所になっています。

カルデラ 久美子さん(以下カルデラ) Pride Paradeに参加して、沿道の熱気が強く印象に残っています。通りすがりの方だけでなく、レインボーの旗を振ってパレードを見ている方も多くいました。沿道の皆さんもPride Paradeに参加しようという雰囲気に包まれていましたね。社内外、あるいは参加者と非参加者の垣根を超え、街と一体になっている実感がありました。
また、Pride Festivalの当社ブースでは、LGBTQ+の取り組みに留まらず、不妊治療の補助など多岐にわたる平等にまつわる制度を見て「こんなに制度が整っているんですか?」と驚く方が多く、当社で働くことに興味をもってくださるという嬉しい循環が生まれています。

蓮見 勇太さん(以下蓮見) Tokyo Prideに参画し続けることで、当社のお客様との関係性も深まっています。私たちの平等の取り組みの一つとして、お客様と一緒にLGBTQ+に関するイベントや勉強会を開いています。さらにPride Parade当日も、お客様がSalesforceの青いTシャツを着用し、一緒に街を歩いてくださったんです。
そして、今年のPride Paradeは、就業時間の1%をボランティア活動に充てられる「VTO(Volunteer Time Off)」制度を活用し、200名を超える社員が自発的に参加しました。Tokyo Prideへの参画は、社会やコミュニティへの貢献を通じて社員のエンゲージメントを向上させることにも寄与しています。
「誰も置いていかない」AI時代のインクルーシブな製品開発
――AIカンパニーであるSalesforceでは、テクノロジーと平等の推進をどう結びつけて考えていますか。
蓮見 私たちは今のAIエージェント時代における平等を、「誰も置いていくことなく、AIの未来を一緒に作る」ことと定義しています。この時代の変化を、平等を促進する最大の機会と捉えているのです。
歴史をさかのぼると、技術革新の過渡期には、情報や技術の獲得において格差が生まれやすいことがわかっています。そのため当社では、格差が生じやすいコミュニティに対して積極的にスキリング機会を提供しているのです。
その一例として、理系女子学生向けのメンターシップをしているNPO法人Waffleと連携してジェンダー平等を推進する活動したり、OutforceでAIエージェントを開発する勉強会を定期的に開いたりしています。

そして、製品開発のプロセスにも平等の思想を組み込んでいます。「カスタマーゼロ」という、新製品をまず社内に導入して検証する考えのもと、多様なバックグラウンドを持つ社員が開発段階のAIを使い、フィードバックをします。
これによって、AIが学習する段階でのバイアスを最小限に抑え、倫理的かつ人道的な製品をお客様に届けられるようになるのです。組織体制としては、私が所属するOffice of Equality & Engagementと、AIの倫理性を専門とするOffice of Ethical and Humane Useが開発チームと密接に連携しています。
カルデラ Salesforce創業者のマーク・ベニオフは、「ビジネスは社会を変えるための最大のプラットフォームである」と言っています。収益を追うだけでなく、社会貢献をしていくことこそ、私たちのミッションです。

経営陣がコミットメントし、社員が活動をリードするERG
――OutforceなどのERGは、社内でどのような役割を担っていますか。
河津 Outforceは日本オフィスの約3分の1が参加しており、さらには、何らかのERGに社員の6割以上が参画しています。
Outforceでは全社員が自分らしくいられるセーフスペースであるとともに、会社をより良くする「ゲームチェンジャー」という存在でもあります。LGBTQ+当事者が直面する困りごとについてのリアルな声をベースに、人事制度の改善提案をボトムアップで進めてきました。
蓮見 同性パートナーシップを配偶者と同等に扱う制度はもちろん、不妊治療の補助、さらにはトランスジェンダー社員が自分自身の自認する性別で生活するための性別適合手続き・生活支援に対する補助など、先進的な制度がERGの提案によって実現してきました。
採用選考においては、候補者が合否に影響しない形で同じ属性の社員にリアルな働きやすさを相談できる「インサイダープログラム」を行っています。入社後の不安に対して現役社員がリアルな体験を本音で話す仕組みで、このプログラムを利用した候補者のオファー受託率はほぼ100%を記録しています。
カルデラ 若手世代のビジネスパーソンは、就職先を選ぶときに、ビジネスの内容だけでなくカルチャーも重視する傾向があります。平等の取り組みやERGの活動、平等であるための各種制度に惹かれて面接を受けているという声を多く耳にするようになりました。ビジネスとカルチャーの両面に惹かれた人材が集まることで、強い組織になることを実感しています。

――セールスフォース・ジャパンでは、経営層が各ERGの活動にコミットメントする体制を取っています。その背景にある考えをお聞かせください。
カルデラ 経営層が社員にERG活動のすべてを任せてしまうと、成果は出ません。経営トップや役員が自らコミットメントし、アクションを起こさないと組織文化は変わりませんし、お互いの信頼関係や心理的安全性も失われます。エグゼクティブがERGのスポンサーとなり、現場の声を経営に届け、経営の思いを現場に伝える双方向のパイプとなることが不可欠です。
河津 カルデラをはじめとする役員がエグゼクティブスポンサーとしてERGに関わることで、私たちの提案に対する意思決定が迅速になったと感じています。また、ERGの運営に対して、経営のノウハウに基づいたアドバイスももらえるので、活動の質も高まります。
――自分らしく働ける環境があることと、ビジネスの成果を追い求めることの両立については、どのように考えていますか。
カルデラ 当社は、成果をしっかり求める人事評価制度があります。これがあるからこそ、本質的な平等が成り立つのです。言葉だけで「平等」と言っても、評価や給与、職級にバイアスや男女差があれば、本当の平等ではありません。
当社は、自分らしく働ける環境と平等の機会を提供しますが、同時にプロフェッショナルとして結果も出すというスタンスを守っています。評価基準が完全にオープンで公平に機能しているからこそ、社員も納得して働くことができ、心理的安全性が高い状態で最高のパフォーマンスを発揮できるのです。
平等をバリューとして掲げるだけでなく、経営陣のコミットメント、成果を問う人事制度、人材育成、カルチャー醸成といったことと紐づけて取り組むべきだと考えています。
進化し続けるテクノロジーと、不変のコアバリュー
――最後に、AIカンパニーとして見据える「平等の未来」を教えてください。
蓮見 私たちが目指すのは、「人間を中心に据え、AIと協働する未来」です。AIに任せる領域が増えるからこそ、人間に残る役割である共感力やクリエイティビティが重要になります。平等のカルチャーと心理的安全性があるからこそ、人間が発揮すべき力が最大限になり、イノベーションを生み出す原動力になります。
カルデラ テクノロジーやビジネスの中身が変わっても、根底にあるバリューやカルチャーは不変です。これからも私たちは誰も取り残さないインクルーシブで多様な社会の実現に向けて、社内外のコミュニティとともに歩んでいきたいと思います。





































































































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