タイ国政府観光庁
Tourism Authority of Thailand
国全体がLGBTQ+フレンドリー。タイが様々なジェンダーに寛容な理由とは
Tokyo Pride2025に単独協賛として参加を決めたタイ国政府観光庁。国全体としてLGBTQ+に寛容な流れにあるタイの近況、そして東京で伝えたいことについて所長のカジョンデート・アピチャートラクンさんに話を聞いた。
取材・文/山本梨央 撮影/清原明音
同性婚が合法化。より一層LGBTQ+フレンドリーになったタイ
ー今回、初めて単独での協賛を決められたとのことですが、Tokyo Pride 2025への参加の理由や、期待していることについてお聞かせください。
カジョンデートさん タイが本当にLGBTQ+に対してフレンドリーな国である、という認知を広めたいという部分が特に大きいです。今年、タイでは同性婚が合法化されました。それだけ、LGBTQ+の当事者のみなさんにとっても居心地のよい国であるということを強く伝えたいです。
―Tokyo Pride 2025ではどのような取り組みをされる予定でしょうか。
カジョンデートさん 首都バンコクからもアクセスしやすい「パタヤ」という地域があります。このパタヤには、トランスジェンダーの方々がパフォーマンスを行う「アルカザール」というシアターがいくつかあるのですが、今回はその面々が来日します。ブースでは彼らとの写真撮影などもできる予定です。また、タイ国内でも観光スポットとしておすすめしたいエリアがいくつかあり、情報提供の場としてもブースを活用できればと思っています。
首都バンコクだけでなく、タイ全国で寛容に受け入れられる
―同性婚の合法化など、国民全体としてもLGBTQ+に対する理解が進んでいるように感じられます。タイを観光で訪れても、そういった風潮は感じられるものでしょうか。
カジョンデートさん 同性婚の合法化ということは、つまり国民としても認めているということでもあると考えています。たとえば、LGBTQ+の当事者であるということを表現しなくとも、基本的に受け入れられる雰囲気があるかと思います。なので、居心地よく感じていただけて、普段通りにストレスなく観光を楽しんでいただけるというのは特徴の一つといえるのではないでしょうか。
また、LGBTQ+の方々が参加される大々的なイベントもたくさん開催されています。代表的なものを挙げると、バンコクのダウンタウンで年末年始に行われる「ホワイトパーティー・バンコク」、東京レインボープライドと同様の「バンコクプライド」、それから、タイの正月でもあるソンクラーンという時期に催される「S2O」というイベントもあります。
カジョンデートさん 「ホワイトパーティー・バンコク」はLGBTQ+の方々が積極的に参加されるイベントで、国内で有名な方だけでなく、ハリウッドからも著名人も参加し、大変な賑わいを見せています。「S2O」は、タイの暑さの中で水をかけることによって幸せを呼ぶというイベントです。コンサートなども開催されるので、見どころもたくさんあります。これらだけでなく、年間を通じて様々なイベントも開催されていますし、人々も優しく、どんな人でも参加したいと思えば受け入れてくれる素養があるのです。
―バンコク以外のエリアでは、LGBTQ+に対する姿勢に違いはありますか?
カジョンデートさん これもタイの大きな特徴の一つだと思うのですが、北部のチェンマイなどに行っても、南部へ行っても、どこでもウェルカムされると思います。パブやレストランにいっても、レインボーのフラッグマークをつけているお店を探すのは難しくありません。首都だけでなく、どんな地域でもフレンドリーであるというのはタイの強みです。
もともと「タイランド」というのは「自由な土地」という意味。観光でお越しいただくのであれば、充電するようなイメージでリラックスして過ごしていただけると思います。タイ国内には都道府県の数だけでも77ありますが、その中でどんなところを訪ねていただいても心地よく過ごしていただけるのではないでしょうか。タイ旅行に一度行ったから満足、というよりは、リピートしてお越しくださる方が多い印象です。
すべての人に寛容なタイは、LGBTQ+当事者も自由に結婚式やハネムーンが楽しめる国
―とくにTokyo Pride 2025に参加する方々におすすめしたい、タイでの過ごし方はありますか。
カジョンデートさん 日本では、まだLGBTQ+の当事者たちが結婚式を挙げるにあたってハードルとなる部分がたくさんあると聞いています。タイに来ていただけたら、みなさんの思い通りにウェディングを構成、実施できるという点はぜひおすすめしたいですね。タイの伝統的な形式で挙式するだけでなく、西洋式でも、日本式でも実現可能です。それに、象にのってパレードをしたいなどエンターテインメント要素を入れることもできるのはタイならではだと思います。
また、LGBTQ+の方々にとっての新婚旅行やセカンドハネムーンでタイを訪れる方も多くいらっしゃいます。特にバンコクとパタヤはホテルを含めて特別な日を祝うためのファシリティが整っているので、安心してリラックスしながら旅を楽しんでいただけるはずです。
―タイではどうしてそのような寛容な受け入れ方が実現できているのでしょうか。
カジョンデートさん タイの言葉に「サバーイ」や「マイペンラーイ」という言葉があります。これは、ニュアンスとしては「いつでも、なにがあっても大丈夫」という意味。こうした感覚がベースとなっている部分は大きいのかもしれません。マニュアル的ではなく、柔軟性を認める素養があるところがタイの国民性の一つとも言えるでしょう。LGBTQ+の方々だから、というよりも、どんな人にも寛容であり、分け隔てなく普通に対応する、というのがタイの良さだとも言えます。
―最後に、Tokyo Pride 2025の参加者の方々に特に伝えたいことがあればお願いいたします。
カジョンデートさん タイでは、食、体験、ショッピングなど様々な観点で観光を楽しんでいただけます。それを現地で体験していただくことで、本当の意味で100%充電して、日本の日常に戻り、また次のステップに行く、という過ごし方をしていただけたらな、と思っています。LGBTQ+の方々も含め、どんな方にも寛容なタイを楽しんでいただきたいです。





