末浪(大塚)伸二

作品名|祝日

本作は、ガラス板に描かれた日の丸を、針で一文字ずつ刻まれた無数の「NO HATE(差別反対)」の文字によって構成した作品である。光を透過するガラスは、国旗という固定化された象徴を不安定で壊れやすいものとして示し、その表面に刻まれた微細な文字は、見過ごされがちな個々人の声を可視化する。2012年以降、自民党を中心に「国旗損壊罪」創設を目指す動きは断続的に繰り返され、2025年には連立政権合意や参政党による法案提出へと至った。国旗が法によって「守られる対象」として強化される一方で、その内側に生きる人々の尊厳は十分に守られているのか。本作は、傷を刻む行為を通して、排除や沈黙を強いる力ではなく、いかなる国籍であっても、いかなる出自、人種、民族、信仰であっても、ジェンダー、セクシュアリティー、障害や感染の有無、過去の経歴にかかわらず、誰もが差別されずに生きられる社会こそが、日本のあるべき姿であると静かに訴える。一文字一文字の刻印は、その祈りの積層であり、時間と痛みを伴う反復行為として結晶化させたものである。