長嶋一孝

作品名|玫瑰少年

私は木口木版画という木の年輪にビュランという特殊な彫刻刀で彫る技法の版画作家です。
今回製作した玫瑰少年は、2000年4月に台湾で起きた葉永鋕事件を題材とした作品です。
葉永鋕事件とは、当時中学3年生だった葉永鋕は周囲から、仕草が女っぽいと揶揄されイジメを受けていました。
葉永鋕は人が少ない授業中を見計らってトイレに席を立ちましたが、後に血まみれで倒れているところを発見され、死亡が確認されました。トイレに流れる血がまるで薔薇のように赤かったため玫瑰(薔薇)少年と言われるようになりました。
このことがきっかけとなり性別平等教育法が成立し、この事件はのちに台湾で同性婚ができるようになるまでのきっかけとなった事件です。
しかしこの物語はなにも特別な物語ではありません。
私自身もそうですが学生時代には、仕草が女性らしいと揶揄われていました。
もしかしたら自分自身が葉永鋕さんのようになっていたかもしれません。
私は運よく生きてこれましたが、この日本のどこかではいまだにそのことで悩み
命をたつ人がいるかもしれません。
私はそのことを忘れないように作品を作成いたしました。