鳥籠みつ器

作品名|あの『狂気の歴史』へのレクイエム

「キース・へリング」「ミシェル・フーコー」-1980年前後のニューヨークで、時代、規範、エイズという社会構造を問うた、アーティスト、哲学者として知られる。

 現在のクィア・スタディーズにおいて、スティグマ(偏見)のインターセクショナリティ(交差性)は最重要なテーマである。ゲイ、HIVという共通項のもと思索、表現を続けた歴史的アイコンを参照し、ゲイ、発達障害である私の身体を実験的なモデルとして、セクシャリティ、欲望、病の記号、抽象化をおこない、AIによる表徴の再構成を試みた。

 欧米には肌色の多様性を象徴するクレヨンが存在する。今作品はあえてクレヨン、破り取ったスケッチブック、コンビニのコピー機を用い、誰もが手にできる安価なメディアと技術で、周縁に生きる人々の自由な表現と発信が、その生き方、社会の構造を変える希望へつながるメッセージを託した、2026年のグラフィティである。先達へのレクイエムとして、壁面に描かれたハートはあえて白、レインボーフラッグは黒の輪郭を強調した。

 ひとりが始める表現が、今、ひとりで生きる誰かに対話をもたらすかもしれない。あなたの感想と経験を、誰かに伝えてほしい。