OTOKONOKOTO
作品名|Man in Frilly Socks
僕は幼稚園生のころ、一時期、レースのフリルがついた靴下を履いていた。
母と買い物に行ったときに買ってもらったものだ。
「ほしい」となかなか言えず、靴下売り場に長い時間立っていた記憶がある。
あのときの僕は、どうしてフリルの靴下を履きたかったのだろう。
フリルの靴下を何種類も買ってもらった。
初めてフリルの靴下を履いた時、その靴下で幼稚園に行った時、僕はどんな気持ちだったのだろう。
僕は女の子になりたかったのだろうか。
それとも、フリルの靴下を履く女の子たちが羨ましかったのだろうか。
どうしてフリルの靴下は、女の子ばかりが履いているのだろう。
いつのまにか僕はフリルの靴下を履かなくなっていた。
あのとき以来数十年フリルの靴下を履いていない。
どうして履かなくなったのだろう。
好みが変わったのか、自分には似合わない、合わないと思ったのか。
家族や周りの人が僕の靴下について何か言っていたという記憶はない。
僕がフリルの靴下を履いていたことを覚えている人はいるのだろうか。
今はフリルの靴下を履きたいとは思わない。
でも絶対に履きたくないというわけではない。
今は今で、履きたい靴下を履いている。
あのとき履きたかった靴下を買ってくれたお母さん、ありがとう。
フリルの靴下は結構高かったはず。
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