アッヴィ合同会社
AbbVie GK
他社との共同開催も。アッヴィがさらに広げる、LGBTQ+理解の裾野

米国に本社を置き、世界約175カ国で製品を販売するグローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業、アッヴィ。日本法人であるアッヴィ合同会社は、医薬品の開発や提供にとどまらず、社会課題の解決に向けた取り組みを行っています。その理念と行動を導くものが、アッヴィの「私たちの約束」です。EEDI(公平・平等・ダイバーシティ&インクルージョン)はその中核を成す取り組みとして、全社で推進し、患者さんに新たな価値を生み出すことを目指しています。
そんなアッヴィは日本において、ERG(従業員リソースグループ)の一つ「PRIDE」は明確な方針の下に社内外への取り組みを続け、「work with Pride」のPRIDE指標では最高評価となるゴールドを2021年から5年連続で受賞。また、セクターを超えた協働を推進する企業を評価する、「レインボー認定」を製薬業界では初となる3年連続で取得。他製薬会社と共同した勉強会の実施など、自社にとどまらない活動を広げている。オンコロジー領域事業部 西日本営業部で営業部長を務める松枝 亨さん、アラガン・エステティックスのビジネスエクセレンス部でCRMマネージャーを務める浅川 さつきさんにアッヴィが進めるPRIDEの取り組みについて話を聞いた。
取材・文/山本 梨央 撮影/清原 明音
日々の啓発の積み重ねで、アライの人数が740名まで増加
――昨年に引き続きTokyo Prideにご参加いただきますが、この1年で社内での大きな変化はありましたか?
浅川 さつきさん(以下浅川) 昨年のTokyo Pride参加から、一過性の話題というよりも、徐々にLGBTQ+やアライの認知度が上がっているように感じます。PRIDEの活動を初めて知った、課題を自分ごととして知った、という声も上がっていましたね。

浅川 日々、職場で安心して話せる雰囲気づくりやLGBTQ+への理解促進に向けた継続的な活動に力を入れています。現在把握できている社内でのアライの人数は740名ほど。全体の36%に上ります。
松枝 亨さん(以下松枝) 昨年の記事をきっかけに、それまで活動内容を知らなかった社員にとっても知るきっかけになったという声も聞きました。自分ごととして考えるようになったという人が増えているのではないでしょうか。
――社内での勉強会なども積極的に実施されているそうですね。
浅川 「共感はしているけれど、まだアライ宣言には至っていない」という社員が多いことが課題だったのですが、社内でトークショーやイベント、各部署ごとに勉強会を行うなどの取り組みを進めています。自身の体験をクローズドグループの中で話し、理解を深めるなどのディスカッションの場も活用してもらえている場面が多いようです。
特に、各部署のリーダーにお願いして部署の時間の中で勉強会の時間を取ってもらったのですが、まだ興味を持っていない人、知識がない人も参加しやすい形で認知拡大ができています。

――管理職の方々にはeラーニングを必ず受講するようにアナウンスしていらっしゃるそうですね。
松枝 管理職となると、日々の業務もある中で自発的に本を読んで知識を身につけたいという思いもありつつ、なかなか時間を捻出できないという現状もあります。eラーニングはコンパクトな時間で効率よく学ぶことができるので、全体像を把握するのに役立っていますね。
浅川 初級編で基礎知識を身につけ、スタンダードとしてさらに知識を深める、さらに管理職向けにどのようなシチュエーションでアライとして行動するべきなのかなどを学べるコンテンツになっています。LGBTQ+に関する状況は年々変化を遂げているので、一度受講したことがある人にとってもさらに学んでもらえるよう、今後は内容のアップデートも検討していく予定です。
他製薬メーカーと共同での勉強会で広がる知見
松枝 昨年12月に実施した勉強会は二部構成で実施したのですが、第一部は基礎知識として「アライとは何か」という心構えから。第二部は当事者が抱える困難や未来についての講演、パネルディスカッションなどを行いました。オンラインで参加できるもので、参加者からは「相手に寄り添うためにはどのような行動を取るべきなのかがわかった」「特別視するのではなく、個人としての対話や思いやりを大切にしたい」といった声もあがっていましたね。
浅川 それぞれのご講演では、専門家および医師に登壇いただきました。その中で「性のグラデーション」という言葉を使っていらっしゃったのですが、たしかにグラデーションという考え方や表現は自分ごととして捉えやすくなると感じました。こういう表現で理解が広がっていくといいですよね。

松枝 医師の講演などを聞くと、状況を改善したくても、世界的な視野で考えた際に、政治的な影響を受けることもあり、物事を動かすことは簡単そうに見えても難しいのだなと実感することもありました。そのような中で、自分自身もさらにしっかり学びたいと思えましたし、当事者の皆さんに自分ができることはなんだろうかと考えるきっかけにもなりました。
――他製薬メーカーさんと連携することでどのような手応えを感じていらっしゃいますか?
浅川 現在は複数社で取り組んでおり、一社だけではマンパワーとして足りない部分も、複数社だからこそ分担しながら達成できたこともありました。今は外資の製薬メーカー同士でのアライアンスになっていますが、今後は日系企業にも声をかけていく予定です。
共同で開催してみると、当社だけでなく共通して抱いている課題もあるのだな、と可視化されたことも印象的でした。また、他社の素晴らしい取り組みを私たちも取り入れられないかと考えるきっかけになるなど、広がりを感じます。
当事者目線での懸念に寄り添った、新たな制度の推進
――2024年には法定外労災保険の受取人に同性パートナーを追加されています。どういった経緯で実現されたのでしょう?
松枝 当社では、2020年8月に同性婚を法律婚と同等に扱う「結婚に関するガイドライン」を導入しました。基本的に日本の社内で対応可能な範囲で運用をしていたのですが、アメリカ本社でもガイドラインで配偶者に同性パートナーを含む方針を出したことから、日本でも保険料を条件とするのではなく、保険の受け入れ人として同性パートナーを含むことができる保険がないかを調べ、該当のあったものの中で選定し、実現しました。

松枝 こういう制度が出たときに、人事からアナウンスされるだけでなく、私自身も管理職として継続的に啓発していきたいなと感じました。利用しやすいということ、認められているということを伝えていくのも管理職の役割だと捉えていて。裾野を広げていきたいです。
浅川 社員の中には、こういった制度があって入社を決めた人もいます。LGBTQ+に対する姿勢がきちんと社外にも伝わり、素晴らしい人財が入社してくれて、一緒に仕事を進めていけるというのも理想的な循環です。今年からはガイドラインではなく、就業規則に直接組み入れて公式な制度としています。
――LGBTQ+の相談窓口を社外に設けているというのも、当事者に寄り添った環境づくりの一環のように感じます。
浅川 カミングアウトするということは、職場の人間関係で相談するには非常にデリケートな話題ですよね。個人のプライバシーにも関わりますし、当事者にとっては「自分の評価に影響しないか」「意図しない形でアウティングにつながらないか」という懸念があり、躊躇してしまうことも。

浅川 匿名性が完全に守られる形で、心理的安全性の高い形で提供することが必須と考えて、外部に相談窓口を設置しているんです。全社に向けたeラーニングなどでも、こうした窓口の周知を行っています。
松枝 外部窓口ということもあって、相談内容や情報が内部に入らないという徹底された環境も、そうした受け皿があるという点で働きやすさの実現につながっていると思います。
配慮が「自然に」行われる職場を目指して
――Tokyo Pride 2026のテーマ「多様性と平等がひらく未来」に寄せて、アッヴィとして今後の活動の展望をお聞かせください。
松枝 「多様性と平等がひらく未来」というテーマは、アッヴィとしての企業活動で大切にしている考え方と近いものだと感じています。一人ひとりが自分らしく力を発揮できる環境のために、積み重ねていきたいことですね。今後もLGBTQ+に関する理解の促進やアライの可視化など、広めるだけでなく深く、繋がりながら行動するということにフォーカスしていきたいと思っています。日常の中でも、配慮が自然に行われる風土づくりや、安心して対話できる機会の充実に向かっていきたいです。
浅川 社外や他の製薬会社、地域社会、医療関係者とともに共有しながら広げていく役割を、私たちとしても率先して進めていけるといいかなと思っています。LGBTQ+を含む方々が尊重される社会は、一朝一夕で実現できるものではありません。継続的に活動を続けていきたいです。

――今年のブースでは、来場者の方々にどんなことを届けたいですか?
松枝 楽しんでもらいたい、というのが一番です。LBGTQ+の当事者の方々も、アライの方々も、ご家族、ご友人、全ての方に楽しんで笑顔になっていただきたいですね。
浅川 昨年もピースフルで楽しいイベントだったので、今年もメンバー一同、全員で同じように進めていきたいと感じています。
松枝 アッヴィという会社全体や社員で、この取り組みを通して社会貢献活動をしているということもしっかり広げていきたいですし、アッヴィという会社を知っていただく機会になったら、なお嬉しいです。
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一人ひとりが安心して自分らしくいられる環境は、制度だけでは生まれない。アッヴィの社員たちが積み重ねてきた対話と行動の連鎖が、社内外の壁を越えて、確かな変化をつくり続けている。


































































































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