Nstyle
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自分のからだの「ありかた」を、自分で選べる社会へ。「バストフラットインナー」という新カテゴリーが広げる、新しい下着の選択肢

ボディラインを整える補正下着・インナーウェアを手がけ、45年以上の歴史を誇る福井の老舗企業、株式会社エル・ローズ。同社が展開する「Nstyle(エヌスタイル)」は、胸をフラットにし、自分が一番居心地のよいシルエットを叶える「バストフラットインナー」のブランドだ。セクシュアルマイノリティだけでなく、和装時や制服着用時などさまざまなシーンで「胸のボリュームを抑えたいすべての人」に向けたインクルーシブな設計で注目を集めている。
今回、Nstyleのブランドマネージャー 上山 和泉さんにTokyo Pride 2026 Youth Prideに協賛を決めた背景や、胸の悩みに寄り添うモノづくりへの思いについてお話を伺った。
聞き手/髙松 孟晋 撮影/清原 明音

株式会社エル・ローズ Nstyleブランドマネージャー 上山 和泉様
商品企画から販売・マーケティング・PRまでブランド運営全体を担当。
きっかけは「ナベシャツ」。下着のプロとして見過ごせなかった身体への負担
――補正下着メーカーとして「バストラインを美しく整える」商品を作ってきた貴社が、バストフラットインナーに取り組もうと思ったきっかけを教えてください。
上山 和泉様(以下上山) コロナ禍に、自分たちの強みを活かしてSDGsに貢献できることを模索していたとき、「下着の力で何かできないか」と議論が始まったのがきっかけです。当初は性別違和のある方向けの下着を作ることから発想がスタートしました。私たちがプロとして一番自信があるのは、お客様が求めるボディラインを実現する技術です。もともとお客様の中にも「胸をコンパクトに見せたい」というご要望が少なからずあったため、当社の技術と経験を活かして開発が始まりました。
――開発を進める中で「ナベシャツ」という存在を知ったとのことですが、その時に感じたことを教えてください。
上山 リサーチを進めると、胸をフラットにする既存の選択肢は、胸をつぶして男性的なシルエットに見せるいわゆる「ナベシャツ」か、胸が大きい女性向けの小さく見せるブラジャーなど、両極端な選択肢しかないことが分かりました。ナベシャツなど既存のアイテムに救われてきた方も多くいらっしゃいますが、一方で、もっと日常的に快適に着用できる選択肢が欲しいという声があることも分かりました。
特に「ナベシャツ」のような商品や実際の着用感に関する情報は少なく、海外の事例などを調べると過度な締め付けによる呼吸のしづらさや皮膚トラブルなど、身体への負担に関する声も少なからず見られました。
実際に私自身もナベシャツや「チェストバインダー」などを取り寄せて着けてみたのですが、適正サイズを選んだもののホックが留められず、息を止めて着るような状態で、食事や運動など日常生活を送るのはとても苦しいと感じました。胸をフラットにしたい方には必要な商品である一方、もっと選択肢があってもいいと考えたんです。

「カミングアウトしなくていい下着」をつくる。インクルーシブな設計思想
――その体験をきっかけに、よりインクルーシブなブランド設計に舵を切ったと伺いました。この経緯について教えてください。
上山 商品開発にあたりターゲット層を絞ろうとしたのですが、セクシュアルマイノリティの方、和装をされる方、制服着用時や運動の際にバストが目立つのが気になる方、ケア時の距離感に不安や配慮が必要と感じている看護・介護職の方など、さまざまな方がいらっしゃいました。共通していたのは「胸があって、それをコンパクトにしたいシーンがある」ということです。
そこで私たちは、誰もが安心して手に取れる選択肢をつくるため、大きく分けて「ソフト面」と「ハード面」の2つのアプローチでブランドを設計しました。
まずソフト面の工夫として、商品のデザインやパッケージ、商品サイトなどを一般的な「女性インナー」の延長線上として設計し、ジェンダーレスなデザインにこだわりました。いわゆる「ナベシャツ」の一種として販売するという方向性は、これまでの選択肢がしっくりこなかった方にとって、「自分が選ぶべきものだ」と感じてもらえなくなってしまうと考えました。

また、カミングアウトせずに手に入れたい当事者の方や、ご家族に知られずに購入したい方にとっては、購入するハードルが高くなってしまいます。購入・着用する行為自体がカミングアウトにならないよう配慮し、既存の言葉にとらわれない「バストフラットインナー」という新たなカテゴリーを創出しました。
こうした想いから、構造などのハード面では、補正下着の「寄せて上げる」技術を発想転換し、自社特許構造のバストホルダーパネルが、バストを下から支えながらボリュームを分散。[4.1]健康的ですっきりとしたバストシルエットを実現しました。さらに、オンライン販売のみという初めてのお客様にとっては手に取りにくい形態ながらも、より安心・納得して本商品を手に取っていただくため、さまざまな第三者評価の獲得にも力を入れています。
グッドデザイン賞をはじめとするアワード受賞、アパレル材料学と生理衛生学の複合領域を専門とされている大学教授に依頼し製品評価実験も実施しました。

LGBTQ+当事者への理解を、社内外へ広げる
――社内にカミングアウトしている当事者がいない中で、当事者への理解をどのように掘り下げていったのでしょうか。
上山 まず、SNSやネットでのリサーチを重ねました。当初はひたすら検索ワードを入れて、当事者のブログやXの書き込み、海外の記事などを数珠つなぎで探すことから始めました。
ブランドが少しずつ成長するにつれ、お客様の一定層がセクシュアルマイノリティ当事者であるということも見えてきました。より社内でも理解度を上げる必要があると感じ、ジェンダーやセクシュアリティについて、読者の実体験をもとにしたマンガやイラストで発信を続けるメディア「パレットーク」のInstagramアカウントを社内で共有したり、社会学・ジェンダーについて研究をされている地元・福井の大学教員を招いて管理職向けの基礎的な研修を行ったりと、小さなステップを重ねて学んでいきました。もちろん、今もその学びの途中です。
――地元・福井での活動にも協賛されているそうですね。
上山 福井はまだまだ保守的な考えも根強く、カミングアウトが難しいと感じる方も多いと思います。そんな中、地元で活動・発信している多様な性に関するインフルエンサーの方々の存在を知り、まずはブランドとして地元のLGBTQ+関連イベントへの協賛を始めました。地元の企業発のブランドがアライの立場からこうした活動を支援していると発信することで、それを見た当事者の方が少しでも前向きになってくれたらという思いを込めています。

ユース世代の悩みに寄り添う。Youth Pride協賛への思い
――今回のYouth Prideでは、「モヤモヤからはじめる、わたしたちのファッション会議 by Nstyle」を企画されています。どのような場にしたいですか。
上山 東京で開催しているポップアップイベントでトークイベントや座談会を行うことがあるのですが、大学生や高校生などユース層の方が多く来てくださいます。そこで「同じ悩みを共有できる人に出会えて嬉しい」という声をたくさんいただきました。
その悩みを掘り下げてみると、小中学生の頃の体育の授業や部活動、二次性徴の体の変化に戸惑った経験がきっかけになっている方が非常に多いのです。
Nstyleでは、ユース世代の皆さんが買いやすいように22歳以下のすべての方を対象とした割引も導入しています。今回のイベントを通じて、若い世代の方々には「一人じゃないよ」ということ、そして周りの大人たちには「こういう選択肢があることで、身体のことで心苦しい思いをせずに済む子がいる」ということを知ってほしいと願っています。

「自分のからだのありかたを、自分で選べる社会」に向けて
――今後、ブランドとしてどのようなことに取り組んでいきたいですか。
上山 女性の装いの歴史を見ると、ショートカットやパンツスーツが少しずつ受け入れられてきたように、いわゆる性別に対する「らしさ」は常にアップデートされてきました。「胸はこうあるべき」という価値観も、今まさに私たちがアップデートするタイミングにいると感じています。私たちの次の世代では、「今日はフラットにしたい日」「今日は曲線的なバストラインにしたい日」など、誰もが当たり前に選択できる社会に近づく一助になれればと思っています。
モノづくりの会社だからこそできる実直なアプローチで、これからも安心して使っていただける新しい選択肢を丁寧に届けていきたいです。
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「バストフラットインナー」は単なる下着の枠を超え、多くのユース世代の心を軽くする重要な選択肢になりつつある。老舗補正下着メーカーが持つ確かな技術と、一人ひとりの切実な声に真摯に向き合う誠実さが、このインクルーシブなブランドを育ててきた。Nstyleが提案する「自分のからだのありかたを自由に選べる」未来は、多様な個性が尊重される社会への具体的な一歩といえるだろう。




































































































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