KANE and KOTFE

作品名|stargazer

KANEとKOTFEは、2011年12月に交際を始めたゲイカップル。
本作は、交際から約1年後の2012年12月に生まれた。

当時KOTFEは、自身初となる楽曲アルバム『peaces(未発表作品)』の制作に取り掛かっていた。
そこに込めたのは、これまでの人生の軌跡。

孤独、葛藤、社会との摩擦、名づけられなかった感情。
クィアとして生きるなかで積み重ねてきた時間を、視覚的象徴として結晶化させたいと願った。

2012年当時、日本社会においてクィアのパートナーシップは制度的承認を持たず、その関係性はしばしば不可視のまま私的領域に押し込められていた。

愛は確かに存在していても、それを公的に語る言葉や場は限られていた時代である。
そのような背景のなか、KOTFEがKANEに託したテーマは、ただ一言。

「世界で一番悲しい花を描いてほしい」。

数日後、KANEが描き上げたのは、一輪のブルースターだった。
「僕がKOTFEを照らしているから、もう寂しくないよ。」

ブルースターは月光のような柔らかな光に包まれ、空を見上げている。
その月光は、風景ではなく、KANEという他者の存在が放つ光である。

その光は“救済”ではない。

KOTFEの孤独を消すためのものではなく、孤独のなかに共に在るという、KANEからの愛のメッセージである。

ブルースターの花言葉は
「幸福な愛」「信じあう心」「望郷」。

stargazerとは、星を見つめる者。
遠くにある希望を信じ続ける存在の姿。

当時、不可視であったふたりの関係性は、
互いを信じ、見つめ合うことで、はじめて輪郭を持った。

本作《stargazer》は、
制度に先んじて存在していたふたりの愛の記録であり、
痛みを抱えながらも愛する者と共に生きることを選んだ、
互いを照らし合う関係性を象徴する作品である。

この光こそが、ふたりの始まりであり、
いまも続く現在形の愛である。